金属加工の種類 ~金属材料加工の1次加工から金属製品加工の2次加工について紹介します。
私たちの身の周りには金属でできたものがたくさんあります。その金属になんらかの加工を施すことを金属加工といいます。
日常生活の中で無くてはならない金属の製品は、すべてが金属加工で作られています。
この金属加工について、ご紹介していきたいと思います。
金属加工とは ~1次加工と2次加工
一般的に「金属加工」と表示されている場合はこの2つのうち2次加工のことを指していることが多く、このサイトを運営している株式会社テクノス三木も金属の2次加工をしている会社です。
金属加工『1次加工』とは ~金属を材料として使えるようにする加工
金属を材料として使えるようにする加工のことを金属の1次加工といいます。
金属は地球上にたくさん存在していますが、ほとんどのものがそのまま使える状態ではありません。金属は元素としては存在していますが、製品として使える状態にないものがほとんどです。
実際に生活していて自然界に金属の塊を見つけたことがある人はいないのではないでしょうか?
金属製品として使用するためにはまず、金属として使用できる状態にする必要があります。もっと細かく言うと、自然界に存在している状態から取り出して材料として使える状態にする必要があります。
金属を製品として加工できる状態(材料)にする加工が金属の1次加工です。
金属元素を製品として使用することができるようにするところから、金属製品として加工できる材料の状態に加工するまでのことを1次加工といいます。
使われなくなった金属を、再度材料として使えるようにすることも1次加工に含まれます。
金属加工『2次加工』とは ~金属材料を製品として使えるようにする加工
※1次加工の画像のチタンを加工して製品(部品)にしたもの
金属材料を、切ったり、削ったり、曲げたり、くっつけたりなどをして形を変えることで一つの製品として加工します。その加工方法にもいくつもの種類があります。
金属にはたくさんの種類があるため、その金属の特徴やどのような製品を制作するかによって適切な加工方法が変わってくるのです。
たくさんある金属加工の方法を、わかりやすく分類するためには、いくつかの種類が考えられます。どこにフォーカスするかで違った分類ができるからです。
今回はなかでも、形を変える方法に特に着目して分類してみますね。
形を変える方法に着目すると、大きく二つに分けることができます。
①金属を切り取ったりくっつけたりして形を変えてしまう加工方法(切削加工・溶接加工など)と、
②金属の特徴を活用して形を変えてしまう加工方法(塑性加工・鋳造など)の
二つです。
ここからは先は金属の2次加工の種類についてご紹介していきます。
金属加工(2次加工)の種類について
金属加工の分類は2つに分けられると紹介しました。一つは、①金属を削ったり切り取ったり、くっつけたりして形を変えてしまう加工方法と、もう一つは②金属の特性を生かして形を変えてしまう方法です。
前者の①は金属以外のほかのもの(木や紙、プラスチックなど)でもできる加工方法です。(※注:金属をくっつけて加工する方法の中の一つ「溶接」は金属が溶けるという性質を利用した加工方法ですが、今回は形を変える方法の「くっつける」という行為に注目してこちら側に分類しています。)
後者の②は溶かして固めたり、力を加えて形を変える加工で、金属が持つ特性を利用した加工方法です。金属が高温で溶ける性質や、強い力を加えて変形させると元に戻らない性質(塑性)を利用した加工方法なので、木や紙など同じことができない材質では不可能な加工方法です。
金属を加工するためには機械を使います。どの金属をどのように加工する場合でも、ほとんどの場合機械が必要になります。
※日本標準商品分類では金属工作機械に分類されますが、一般的には「工作機械」と呼ばれます。「金属工作機械」と金属をつけなくても「工作機械」だけで金属を加工する機械を指すということです。
テクノス三木でも複数の工作機械を使って金属加工を行っています。
(ここから先は工作機械での除去加工を機械加工と呼びます。)
機械加工(工作機械での除去加工)
機械加工は大きく3つに分類することができます。
- 1切削加工
- 2研削加工
- 3特殊加工
です。
1.切削加工
使用する工作機械は、旋盤・フライス盤・マシニングセンター※・ボール盤などです。
旋盤は切削する対象物が回っているところに刃物をあてて不必要な部分を除去し、フライス盤は回っている刃物を切削物にあてて不必要な部分を除去します。ボール盤は回っているドリルなどをあてて穴をあける機械です。
これらの工作機械で不要な部分を除去することで必要な形状に加工していきます。
2.研削加工
研削盤と呼ばれる砥粒が固められた砥石で加工物の表面を削り取る工作機械を使用して加工をします。
細かな粒子で削り取ることで滑らかに仕上げることができます。また、日本標準商品分類では、研削盤及び仕上げ機械として研削して仕上げる機械も一緒に分類されています。
※「分類番号32 15 研削盤及び仕上げ機械」に分類されています。
3.特殊加工
特殊加工は、電気やレーザー、その他のエネルギーを利用して不要な部分を除去する加工方法です。
放電加工機やレーザータレパン(タレットパンチ)などの工作機械を使用して加工します。刃物を使って除去する方法よりも細かい作業に向いているといわれています。
テクノス三木の工場内では主に板金作業で使用しています。金属の板をレーザーで切断して必要な部品の形に加工します。
付加(接合)加工(金属に必要な部分をつけて製品にする加工)
加工方法は、溶接などの金属自体を溶かしてくっつける方法と、ねじやボルトなど材料を使うことでくっつける方法があります。(溶接などのように金属自体を溶かしてくっつける方法は、金属の持つ性質を利用した加工方法です。)
テクノス三木の中では、ねじなどでくっつける方法に関しては「加工」というよりも「組み立て」という認識です。
塑性加工(金属に力を加えて形を変える加工)
通常、金属に軽い力を加えていくと、少しずつゆがみますが、元に戻ろうとする力が働きます。この力を「弾性」といい、これも金属が持つ性質の一つです。
さらに力を強く加えていくと、あるところで曲がったまま戻らなくなります。この、ある程度以上の力が加わると元に戻らなくなる性質が「塑性(そせい)」で、金属が持つ性質の一つです。
「塑性」という性質を持たない素材(ガラスやコンクリートなど)であれば必要な形にする前に壊れてしまうため、「塑性」という性質を持つ金属だからこそ可能な加工方法です。
「塑性加工」と聞いてもイメージがわきにくいかもしれませんね。昔の話などに出てくるような、刀を大きなハンマーでたたいて作る「鍛造」が一番イメージしやすいかもしれません。
塑性加工にはいくつかの種類がありますが、どれもが金属に強い力(圧)を加えて金属の形を変えることで必要な形にする加工方法です。
塑性加工の種類の中でも2次加工でよく使われる加工は、鍛造・絞り加工・張り出し加工・せん断切断・曲げ(プレス加工)などです。
テクノス三木でしている塑性加工はプレス加工(金型に押し当てて金属の形を変える加工)です。
鋳造
鋳造は、金属が高温になると溶けるという性質を利用した加工方法で、材料となる金属を溶かして金型に流し込むことで製作される方法です。
溶解温度が金型より低い金属で利用され、溶解温度まで熱して液体になった金属を、金型に流し込んで固めます。鋳造で加工された製品のことを鋳物といいます。
鋳物は、大きなものから小さなものまであります。一番身近なものではマンホールが鋳造で加工された金属です。特に大きなものだと奈良の大仏なんかも鋳造で作られているそうです。本当に幅広い大きさのものを作ることができます。
使用する金型は何度でも繰り返し使用できるものと、毎回作り直す必要があるものがあり、繰り返し使用できる金型は、コストがあまりかからないため大量生産をしたい製品を作成するのに向いています。
この方法は、金属を流し入れて型に入れるため、表面の仕上がりはあまりよくありません。そのため、表面は仕上がった後に研削加工などの過程を経て完成します。
その他
まとめ
金属加工と一言で言っても、金属の材料を作る1次加工や、材料を製品にしていく2次加工など、大きな分類から小さな分類まで多くの種類があります。ここでは紹介しきれなかった加工方法もあります。
人類が初めて金属と出会ったのは大昔のことなんだそう。
今や、金属は生活に欠かせないものですね。鍋ややかんに始まり、スマホの部品など、多くの金属はこのような方法で製品にされています。